株式の発行による増資の登記

株式の発行による増資株式の発行による増資は、株式会社が新たに株式を発行して出資を受けることにより、資本金を増やす手続きです。

会社の事業に必要な資金の調達や、財務体質の強化、信用力の向上等を目的として行います。

この増資を行うと、資本金の額および発行済株式の総数が増加するため、その変更登記を申請する必要があります。

増資登記の費用

当事務所に、増資(金銭出資)の登記をご依頼いただいた場合にかかる費用は以下のとおりとなります。

■司法書士報酬 38,000 (税込 41,800円)

■実費分
・登録免許税 30,000円(※)
・登記事項証明書 480円
・郵送料、交通費等

※増加する資本金の額の0.7%が30,000円を超えるときは、登録免許税額は増加する資本金額の0.7%となります。

募集事項の決定機関

株式の発行による増資の際には、募集株式の数、払込金額、払込期日、増加する資本金および資本準備金の額などの募集事項を決定します。その決定機関は、以下のとおりです。

■非公開会社(株式の譲渡制限規定がある会社)

・第三者割当
原則として、株主総会の特別決議によります。有利発行となる場合も同じです。
ただし、募集株式の上限と払込金額の下限を定めれば、株主総会の特別決議によって、募集事項の決定を取締役(取締役会設置会社の場合には、取締役会)に委任することができます(上記の株主総会特別決議から払込期日または払込期間の末日までが1年以内である場合に限ります)。
なお、種類株式発行会社において募集株式の種類が譲渡制限株式のときは、定款に別段の定めがある場合を除き、上記の株主総会特別決議に加え、種類株主総会の特別決議も必要となります。

・株主割当
原則として、株主総会の特別決議によります。有利発行は、株主割当の場合はできません。
定款に定めがあるときは、株主総会の決議を経ずに、取締役(取締役会設置会社にあっては取締役会)が募集事項を決定することができます。
上記にかかわらず、募集によりある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときには、さらに種類株主総会の特別決議が必要になります。

■公開会社(株式譲渡制限規定がない会社)

・第三者割当
原則として、取締役会の決議によります。
ただし、有利発行となる場合は、株主総会の特別決議によります(有利発行となる場合であっても、株主総会の決議によって、募集事項の決定を取締役会に委任することはできます)。
なお、種類株式発行会社において募集株式の種類が譲渡制限株式のときは、定款に別段の定めがある場合を除き、種類株主総会の特別決議も必要となります。

・株主割当
取締役会の決議によります。
ただし、募集によりある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがあるときには、さらに種類株主総会の特別決議が必要になります。

総数引受契約

中小企業や、ある会社の子会社が新たに株式を発行して増資する場合には、株主総会を開催する前にあらかじめ株式の引受人が決まっていることが多いと思います。

このようなケースでは、会社と株式引受人との間で新たに発行する株式の全部を引き受ける契約(総数引受契約)を締結することにより、募集株式の申込みや割当ての手続きを省略して、増資手続きにかかる事務負担を軽減し、期間を短縮することができます。

総数引受契約による増資手続きの流れ

  1. 募集事項の決定(株主総会特別決議または取締役会決議)
  2. 総数引受契約の締結
  3. 払込み
  4. 登記申請
    払込期日または払込期間の末日から2週間以内に行います。

株主が1人だけであるなど、株主総会をいつでも開催できる会社であれば、1日で増資手続きを行うことも可能です。

■留意点

・総数引受契約における株式引受人は複数であってもかまいませんが、実質的に同一の機会に一体的な契約で募集株式の総数の引受けが行われることを要します。

・総数引受契約に係る募集株式が譲渡制限株式であるときは、定款に別段の定めがある場合を除き、株主総会(取締役会設置会社にあっては取締役会)の承認決議が必要となります(会社法第205条第2項)。