定款とは

会社の定款定款とは、会社の組織、運営について定めた基本規則のことです。会社設立の際に最初に作成したものを原始定款といい、現在の時点で有効な規定のものを現行定款といいます。

上記のとおり定款は会社の基本規則ですので、これを変更するためには、株式会社においては原則として株主総会の特別決議(議決権の過半数に当たる株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成)が必要となり、合同会社においては、定款に別段の定めがなければ、総社員の同意が必要となります。

株式会社の定款記載事項

会社の定款の記載(記録)事項には、その法的効力の違いからみて、絶対的記載事項、相対的記載事項および任意的記載事項があります。

■絶対的記載事項
定款で必ず定めておかなけければならない事項のことで、もし、この記載を欠くかまたはこの記載に瑕疵がある場合は、定款そのものが無効となります。
株式会社では、次のものがあります。

1.目的
どのような事業を営む会社であるかを明らかにするものです。

2.商号
会社名のことです。

3.本店の所在地
定款では、本店が所在する独立の最小行政区画(市区町村)まで定めれば足ります。

4.設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
株式会社の設立に際しては、出資の確実性を確保しなければならないため、定款の絶対的記載事項となっています。

5.発起人の氏名または名称及び住所
株式会社の設立には、1名以上の発起人が必要です。なお、発起人は、その資格には別段制限はなく、未成年者、法人、外国人もなることができます。

6.発行可能株式総数
株式会社がどれだけの株式を発行することができるかを定めるものです。株式会社の成立時までに定める必要があり、定款の絶対的記載事項に準ずるものであるといえます。

■相対的記載事項
定款に定めがなくても定款自体の効力には影響はありませんが、定款で定めておかなければ、会社の法律関係として効力が生じない事項です。

1.変態設立事項
変態設立事項とは、次の4つの事項のことをいいます。

①現物出資に関する事項
設立時に、金銭以外の財産を出資する者がある場合は、その者の氏名(名称)、出資する財産とその価額、割り当てる設立時発行株式の数を記載しなければなりません。

②財産引受けに関する事項

③株式会社の成立により発起人が受ける報酬その他の特別の利益
この事項を定款に記載すると、裁判所によって選任された検査役の調査が必要となり、そのための費用(検査役に対する報酬)や時間が余分にかかることになってしまうため、実際はほとんど記載することはありません。

④株式会社が負担する設立に関する費用
この事項についても、記載すると検査役の調査が必要になってしまうため、実際の場面で記載されることはほとんどありません。

2.株式の譲渡を制限する規定
発行する全部の株式について譲渡制限株式とする場合は、定款において、譲渡による株式の取得については会社の承認を要する旨を定める必要があります。なお、定款で株式を譲渡することを完全に禁止する旨を定めることはできません。

3.種類株式発行の定め
株式会社は、いわゆる優先株式や議決権制限株式、譲渡制限株式などのように、権利の内容が異なる2以上の種類株式を発行する場合には、その具体的内容及び発行可能種類株式総数を定款で定めなければなりません。

4.株主名簿管理人の設置

5.単元株式数の設定
株主総会においては1株1議決権が原則ですが、定款で、一定の数の株式をもって1単元として1個の議決権を行使することができる単元株式数を定めることができます。

6.株券発行の定め
平成18年の会社法の施行によって、株式会社は株券不発行が原則になりましたので、株券を発行する場合は、定款にその旨の定めを置く必要があります。

7.株主総会の招集期間の短縮
非公開会社でかつ取締役会非設置会社である場合は、定款で定めることにより、株主総会の招集期間を、本来の招集期間である1週間よりも短縮することができます。

8.取締役会の招集期間の短縮
取締役会設置会社において、取締役会の招集期間を1週間よりも短縮する場合は、定款にその旨を定める必要があります。

9.株主総会の決議の方法

10.株主総会、取締役以外の機関の設置

11.取締役、監査役の任期の伸長
取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までが原則ですが、定款で短縮することができ、また非公開会社については、最長で選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することができます。
監査役の任期は、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までが原則ですが、取締役と同様に、非公開会社については、最長で選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することができます(監査役の任期の短縮は不可)。

12.役員の責任の免除に関する定め

13.責任限定契約に関する定め

14.公告の方法
公告とは、会社の決定事項などを広く一般に知らせることです。公告方法を、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法または電子公告にする場合は、定款でその旨を定めなければ効力が生じません。公告方法を定款で定めていない場合は、公告方法は官報に掲載する方法となります。

■任意的記載事項
定款に定めなくても定款自体に影響を及ぼすことはなく、またその定め自体の効力にも影響はなく、便宜上定款で定められる事項です。ただし、いったん定款に定められると、それを変更するためには、定款変更の手続きが必要となります。

1.基準日
基準日とは、株主の権利を行使することができる株主を確定するために、株式会社が定める一定の日です。基準日において株主名簿に記載または記録されている株主が、議決権や配当などの株主の権利を行使することができます。定款では、定時株主総会において議決権を行使できる株主を確定させるために、事業年度の末日を基準日として定めていることが一般的です。

2.会社役員の員数

3.事業年度

4.定時株主総会の召集時期

合同会社の記載事項

合同会社における定款の記載事項には、次のようなものがあります。

■絶対的記載事項

1.目的

2.商号

3.本店の所在地

4.社員の氏名または名称および住所

5.社員の全部が有限責任社員であること
合同会社の社員は、すべて有限責任とされているので、定款の絶対的記載事項となっています。

6.社員の出資の目的およびその価額または評価の標準​

■相対的記載事項

1.持分の譲渡に関する定め

2.業務の執行に関する定め

3.支配人の選任及び解任に関する定め

4.業務執行社員と合同会社との関係に関する定め

5.社員の退社の事由

6.相続、合併の場合の持分の承継
合同会社の社員が死亡または合併により消滅した場合に、その社員の相続人その他の一般承継人がその社員の持分を承継する旨を定款で定めることができます。逆に、この定めがない場合には、合同会社の社員に相続、合併が発生したとしても、相続人その他の一般承継人は社員となることができず、社員1人の合同会社であれば解散することになってしまいますので、注意が必要です。

7.損益分配の割合
定款に定めがないときは、各社員の出資の割合となりますが、損益分配を出資の割合と異なる割合とする場合には、定款で定める必要があります。

8.合同会社の存続期間

9.解散の事由

10.残余財産の分配の割合

11.公告の方法
公告の方法については、株式会社と同じとなりますが、合同会社には決算公告の義務はありません。

■任意的記載事項

1.事業年度

2.社員総会を置く旨の定め