有限会社を株式会社へ移行(変更)する登記

有限会社から株式会社への移行現在、特例有限会社である会社につきましては、定款を変更してその商号中に株式会社という文字を用いる商号の変更をすることができ、これにより通常の株式会社となることができます。

この特例有限会社から株式会社への移行は、商号変更後の株式会社の設立登記および商号変更による特例有限会社の解散登記をすることにより効力が生じます。

特例有限会社の株式会社への移行をお考えの方につきましては、名古屋市の関司法書士事務所にご相談ください。

移行手続きの費用・報酬

特例有限会社の株式会社への移行の手続きを当事務所にご依頼いただいた場合の費用は、以下のとおりとなります。

なお、以下の費用は、支店の登記がない会社様のもので、支店の登記がある会社様につきましては、別途支店所在地における登記費用がかかりますのでご了承ください(支店所在地における登記費用につきましては、お問い合わせください)。

■司法書士報酬 55,000 (税込 60,500円)

■実費分
・登録免許税
株式会社の設立登記分 30,000円(※1)
特例有限会社の解散登記分 30,000円
・登記事項証明書 1通あたり480円(※2)
・郵送料等

※1 資本金額の0.15%(商号変更の直前における資本金の額を超える資本金の額に対応する部分については0.7%)が30,000円を超えるときは、その金額が登録免許税額となります。

※2 株式会社への移行登記が完了しましたら、当事務所で移行後の登記事項証明書(必要であれば印鑑証明書も)をご希望の通数分取得し、印鑑カードといっしょにお渡しいたします。

株式会社の設立登記分の登録免許税が30,000円となる場合であれば、司法書士報酬分と実費分を合わせた手続き費用の総額は、120,000 ほどになります。

特例有限会社とは

平成18年5月の会社法施行に伴い、新たに有限会社を設立することはできなくなり、既存の有限会社は、株式会社として扱われることになりました。

とは言っても、それまで「有限会社△△」だった会社が、平成18年5月を境に自動的に「株式会社△△」と変わったわけではありません。

既存の有限会社は、「特例有限会社」という従来の有限会社に近いスタイルの特殊な株式会社となり、商号は、従来どおり「有限会社」という言葉を使っていくことになります(逆に言うと、「株式会社」という言葉を使用することはできません。)。

一方、決められた手続きをとれば、特例有限会社から一般的な株式会社へ移行することもでき、その場合は、商号に「株式会社」という言葉を使うことになります(「有限会社」と名乗ることはできなくなります。)。

「特例有限会社」から「株式会社」への移行手続きは、いつでもすることができますが、一度「株式会社」へ移行してしまうと、再度「特例有限会社」に戻ることはできませんので、移行するかどうかにつきましては慎重に検討する必要があります。

株式会社へ移行した場合のメリット・デメリット

メリット

企業イメージ・信頼度が上がる期待性

一般的に、「有限会社」よりは「株式会社」の方が会社規模が大きく、取引相手として安心感があるというイメージを持たれている方が多いと思われます。現在では、資本金1円でも株式会社の設立ができるようになりましたので昔ほどではないかもしれませんが、まだまだ、「株式会社」を名乗ることにより、企業イメージ・信頼度が向上するという期待を持てるでしょう。

株主間の株式譲渡についても制限をかけることができる

株式会社においては、株主間の株式譲渡についても、会社の承認を要するように規定することができますが、特例有限会社においては、株主間の株式譲渡を制限することはできません。株主間で自由に株式のやり取りができるということは、最悪の場合、少数株主が会社を乗っ取るようなことを計画してしまうことも考えられます。

株式会社であれば、株主間の株式譲渡についても制限をかけられますので、こういった不安はなくなります。

柔軟な機関設計ができる

会社法の施行以降、株式会社は従来に比べて、だいぶ柔軟な機関設計ができるようになりました。

その一方、有限会社は、株主総会・取締役・代表取締役・監査役という決まった機関のみが設置できるだけで、取締役会や監査役会、会計参与といった機関は設置できません。

デメリット

役員の任期に制限がついてしまう

特例有限会社の場合、役員の任期については制限がありませんが、株式会社になると、役員の任期は最大でも10年までしか伸長できません。そうすると、株式会社においては、役員の任期が満了する度に、役員変更登記をしなければならず、そのためのコストがかかることになります。

決算公告が必要となる

特例有限会社の場合、決算公告の義務がありませんが、株式会社の場合は、法令上、毎年定時株主総会の終結後に、決算公告をする義務があります。実際のところ、株式会社であっても決算公告をやっていない会社は多いかと思いますが、法令遵守を徹底する会社であれば、特例有限会社のままでいるのと比べて、決算公告のための手間とお金がかかることになります。

商号中に「有限会社」という文言が使えなくなる

会社法の施行以降、有限会社は新設することができなくなりましたので、現時点で「有限会社」と名乗っている会社は、少なくとも会社法施行前から存在していた、ある程度歴史のある会社であることの証明になります。

一度株式会社に移行しますと、もう二度と有限会社に戻ることはできませんので、過去の歴史に重きを置かれる場合は注意が必要です。



このように、特例有限会社から株式会社へ移行することは、一長一短の面があります。

ご事情に合わせてご検討いただき、移行手続きが必要な場合は、ご相談ください。

移行手続きのポイント

商号変更による特例有限会社から通常の株式会社への移行手続きでは、以下の点に注意が必要です。

1.移行による設立登記の申請の際には、代表取締役の印鑑届が必要となります。

2.特例有限会社の在任中の役員の任期は、株式会社への移行により、会社法における株式会社の役員の任期に関する規定が適用されることになりますので、移行の時点で役員に選任されて(会社設立時からの役員については設立日)からの期間が会社法上の任期を超過している役員については、移行の効力が生じた日(設立登記の日)に任期満了により退任することになります(退任の登記は不要)。
したがって、株式会社への移行により任期満了となる特例有限会社の役員で、移行後の株式会社でも引き続き役員となる方につきましては、あらためて役員として選任する手続きが必要となります。具体的には、株式会社への移行に関する定款変更の決議を行う株主総会において、移行が効力を生じることを条件とする役員選任を行います。

3.移行による設立登記では、登記官が職権で、以下のとおりにすべての役員の就任年月日を記録します。
① 移行の時に退任しない役員については、その就任年月日(会社設立時から在任する役員については設立年月日)
② 移行の時に就任した役員については、移行の効力が生じた日(設立登記の日)

4.移行後の株式会社の株式譲渡制限の規定を「発行する全部の株式について、譲渡により取得するには会社の承認を要する及び株主が譲渡により取得する場合は承認したものとみなす」旨の内容と異なるものとするためには、定款変更の効力発生日を設立登記と同一の日とする必要があります。
⇒定款附則において「商号変更の効力が生じた日から定款を施行する」旨を定めることが多いです。

5.定款に「補欠又は増員により選任された取締役の任期は、他の在任取締役の任期の残存期間と同一する」旨の規定がある場合において、移行時に任期満了になる取締役がいるときは、他の在任取締役は補欠・増員取締役に該当するので、いっしょに任期満了となると解されています。

株式会社への移行の手続きの流れ

お問合せから手続き完了までの流れをご説明いたします。

■1.お問い合わせ・ご相談日の予約

まず最初に、下記の電話番号にお電話いただくか、またはお問い合わせフォームにより、当事務所へご連絡ください。ご相談日の日程調整をさせていただきます。平日の日中はもちろんのこと、事前にご予約をいただければ、土日・祝日・夜間のご相談も承ります。

TEL:052-265-6153
【電話受付時間】午前 9:30~午後6:00
(土日・祝日を除きます)

■2.ご相談

株式会社移行後の商号、機関設計、定款の内容などについて、詳しくお伺いいたします。

会社の登記事項証明書や現在の定款がご用意いただけるようであれば、この際にお持ちください。

この際、有限会社から株式会社への移行手続きの費用につきましてもご説明させていただきます。費用等にご納得いただきましたら、ご依頼ください。

■3.新しい会社印の作成/印鑑証明書の取得

株式会社となった後に使用する会社届出印(法務局に登録し、会社の実印となるもの)をこれまでのものから変更する場合は、新しい会社印を作っていただきます。

また、登記申請の際に必要となる代表取締役等の印鑑証明書を取得していただきます。

■4.定款案の作成

当事務所において、株式会社に移行後の新しい定款の案を作成いたします。

定款案につきましては、ご依頼者様にメール等でお送りして内容の確認をしていただき、もし、定款案の内容で修正箇所がございましたら、修正いたします。

■5.株主総会の開催

定款を変更し、特例有限会社から株式会社へ移行することについて、株主総会で承認を得ます。この決議要件は、定款に別段の定めがなければ、総株主の半数以上であって、総株主の議決権の4分の3以上です。

■6.必要書類の作成

登記申請に必要な書類を、当事務所で作成し、それぞれご捺印いただきます。

■7.費用のお支払い

手続き費用についての請求書を発行いたしますので、お振込み等でお支払いください。

■8.登記申請

費用をお支払いいただきましたら、登記申請をいたします。

移行の登記は、特例有限会社の解散登記と株式会社の設立登記を併せてすることになります。

■9.登記完了

登記申請から、1週間から10日程で登記が完了いたします。

株式会社となった後の印鑑カードを交付してもらい、登記事項証明書(必要であれば印鑑証明書も)を必要部数取得し、お渡しいたします。